展覧会情報
2026.09.07
彫刻学科専任教員の大野綾子先生が9/12よりKAYOKOYUKにて個展を開催されます。
ぜひご高覧ください。
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大野 綾子 AYAKO OHNO
Artist bio
今朝の味つけ
2026.9.12(土)– 10.17(土)
オープニングレセプション:9.12(土)17:00-19:00
トークショー:10.3(土)16:00-17:30, 大野 綾子 / 田口 かおり(保存修復家、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授)
この度KAYOKOYUKIは、大野綾子の個展「今朝の味つけ」を開催いたします。
大野綾子はこれまで一貫して石を扱い、彫刻作品を制作してきました。植物や昆虫をはじめとした自然の風景、日常の行為や親しい人たちの姿など、身の回りの生活に潜むあらゆる事象を、かたちへと起こしてきました。かたくて重い「石」という素材を用いるにもかかわらず、軽やかでおおらかな表現が達成された石彫は、大野作品の特徴といえ、独自の発展を遂げてきました。
近年大野は、身近なモチーフのなかでも、特に「(自らの)家族」に着目し、制作を続けてきました。家族を「変わらないけど変わっていく、更新されていく関係性」と捉える大野の姿勢は、一方的に完全にはコントロールできないもの(石/家族)と、長い時間をかけ、制作や生活を通じいかに向き合うかという、その制作態度にも通底しています。それは、家族が毎朝変わらずつくるスープの味が、その朝の体調や気候、家族それぞれの具合など、日々のこまかな違いで、少しずつ異なっているように感じられる、ということから着想が得られた展覧会タイトルにも、通じる視点だといえるでしょう。
本展では、家族をモチーフとした首像を中心に、新作をご紹介いたします。首像(頭像)は主に肖像彫刻として、古来より存在する様式ですが、「家族を残す。という感覚よりも、私自身にとって家族とは何なのか?という疑問に向かうため」制作に取り組む大野にとってのそれは、シンボリックな対象を石という耐久性のある素材で残す、という元来の意味合いを持ちません。揺るぎない「何か」をかたちに留め、固定するためでなく、探るように「何か」を問い続けるため、石と対話的に仕事を続ける大野の態度が、こうした首像との向き合い方にも垣間見えます。
また首像をはじめ出品作には、「組み合せ」への関心が伝わってきます。これまでも大野は、石や木、金属といった異素材同士を組み合わせた作品や、自刻像にアヒルを添えるなど、モチーフとモチーフを掛け合わせたような作品を発表してきました。今回はそうした関心が、首像と台座がそれぞれ異なる石でつくられ、組み合された像や、動物と人が掛け合わされた二人像、植物を想起させる有機的なかたちの壁掛け作品に、金属が組み込まれた様子など、素材/モチーフ/技法ともに、掛け合わせ、組み合せる意識に見て取れます。特筆すべきは、本展において「台座」が、首像を自立させるため支える、という本来の役割を果たす一方で、像と地続きの体の役割を果たしているものもあるという、両義的な意味を持ち得る点でしょう。こうした像と台の関係性を巡る試みからも、「組み合せ」に対する大野の姿勢がうかがえます。
KAYOKOYUKIでは継続的に大野の作品を紹介してきましたが、本展は六本木に移転オープンした空間では初めての展示となります。図らずも、作家のできごとや経験に対するフラットなアプローチが推し進められた結果、色を抑え、かたちがより強調された作品が多く出品されます。ギャラリーの新たな空間で、大野のかたちがどう立ち上がるのか。彫刻作品と空間の関係性にも着目いただき、この機会にぜひ、ご高覧ください。