彫刻科について

彫刻とは何か?

彫刻とはなにか? という問いかけは、正解のない回答への問いかけです。

現在、彫刻という概念の示す領域は拡張し続けており、 〈ここ〉あるいは、〈これ〉と特定できません。しかし、夢見ることはできます。かつて画家のポール・ゴーギャンは一枚の絵に「我々はどこから来たのか、我々は何であるのか、我々はどこに行くのか」というタイトルを付けました。この問いかけは普遍的なものであり、私たちも、我々の彫刻はどこから来たのか、どのような心の働きの中で展開してきたのか、そして、彫刻の現在・未来はどうあるべきなのかと、問い続けなければなりません。

飽くなき問いかけのみが彫刻に生命を与えます。私たちの彫刻学科は、伝統的な素材や技術を重視しながらもその起源を問い、現在をとらえ、未知の世界の扉を開こうと努力します。彫刻を愛する仲間が集い、大いに議論し制作をしましょう。

カリキュラム

カリキュラム

7つの専門工房を駆使しながら独自の表現領域を探求する。

造形的な基礎と自分自身の視点を探ること。彫刻学科はこの二つを表現の基礎と考えています。1・2年次の基礎課程では、さまざまな素材と向き合うことで得られる身体的な思考を培いながら、表現技術と課題の設定力を鍛えるとともに、多様な歴史観を学びます。
3年次以降の専門課程では、緻密にレイアウトされた7種類の工房をベースに制作します。一つの教室やコースに留まることなく、目的により制作環境を選択でき、多方面から批評を受けられる環境です。また、同時代的な表現の視座を探る講義演習系の授業も並行して行い、主体的に課題を設定できる力も養います。

基礎課程
1〜2年次

彫刻の表現は、私たちがよく知っているもの(物質や現実や技術など)を見つめ直すところから始まります。
この領域は非常に幅広く、そこには素材に対する感じ方や、「もの」「現実」に対する考え方の違いがあります。しかし私たちはその違いを超えて感動したり、それを通して世界を広げたりすることができる。それらを可能にするための実習がこの基礎課程です。<「よく知っているもの」を疑うための様々な方法>これを私たちは表現の「基礎」と考えています。この「基礎」を巡る問題に対して一人一人が実習を通して様々なアプローチで身につける、というのがこの課程の目標です。
「つくること」「みること」「かんがえること」をひとつの表現の中で捉える、それぞれの方法の探求が始まります。

1年次

1年次

つくる、みる、かんがえる。

1年次は多様な課題が準備されています。ものを「みること」「つくること」「かんがえること」をひとつの表現の中でとらえ、それぞれの方法で自分の視点で探ってゆきます。

前期

表現基礎

基礎造形

彫刻A

彫刻B

後期

他領域の授業を受講

造形基礎・選択
[油絵・版画・ 日本画・彫刻]

造形総合科目

造形総合科目

造形総合科目

2年次

2年次

自分でカリキュラムを組んでみる。

2年次は全て選択制のカリキュラムです。自分でカリキュラムを組んでみましょう。様々な素材と向き合いテーマや技術を絞り込んだ密度の高い実習がはじまります。

前期

選択テーマ[C]

彫刻C ・石
・木
・ミクストメディア
・デジタルメディア

塑像実習[D・E]

彫刻D

彫刻E
・石膏 Plaster
・強化プラスチックFRP
・テラコッタ

後期

実材実習[F・G]

彫刻F

彫刻G
・石
・木
・ミクストメディア
・デジタルメディア

専門課程
3〜4年次

彫刻学科のカリキュラムは、3年次からは自由課題としてそれぞれの専門性を追求してゆく場が用意されています。概略に示した通り、私たちの学科は彫刻の概念を、広い範囲で同時代の表現として捉えています。つまり「これが彫刻だ」と教えるのではなく、彫刻に対する疑問や様々な彫刻についての思考が交差する環境が、3年次以降の制作の場となります。
自由課題とは、課題そのものの設定や作品制作に至るプロセスについて、実習を通して自由に考えてゆく段階です。「独自性の追求(originality)」「専門的な探求と習作(study)」「素材や表現の実験(exercise)」など、各自が焦点を絞った表現の探求を行います。また作品に対する批評も造形的な観点に加えて、歴史的な観点、同時代的な観点、社会的な観点など、多方面からのアプローチにより、学年に伴いステップアップしてゆくカリキュラムとなります。 

また、3年次からは、より自由な制作を進めるために 専門工房を駆使した制作が始まります。彫刻学科には様々な素材を研究する7種類の工房が設けられていますが、学生は計画的にそれらの工房を選択しそこをベースに制作してゆきます。それぞれの教員が工房において深く関わると同時に、その枠組みを超えて、工房を「横断」出来ることも大きな特徴です。専門性に対して新しい解釈を生み、深く一つの領域・素材を追求することも、横断することを通じて独自のジャンルを構築してゆくことも可能なシステムとなっています。
自身の視点を探求し発信してゆくステップアップ型のカリキュラムを縦糸とするならば、横糸に相当するのが素材別工房による指導です。

3年次

3年次

専門工房を駆使した制作。

3年次は素材やメディアに対する固有の探求のはじまりです。前半はイメージの実現化を目指し、後半は自己の制作を分析し展開する可能性を探り、表現力を深めてゆきます。

前期

プランニング エクササイズ

素材と形体

彫刻H

彫刻 I

彫刻J

後期

形象と媒体

彫刻K

彫刻L

表現演習 Ⅰ・Ⅱ

4年次

4年次

自在な制作活動へ。

4 年次はこれから社会に対して表現を生み出してゆくはじまりです。これまで培ってきた表現力の展開を社会的に公開する方法を通して追求し、自立して制作してゆく基礎を構築します。

前期

逸脱

彫刻M

彫刻 N

後期

卒業制作

卒業制作

3つのポリシー

アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)

物質や空間と対峙する事によって得られる身体的な造形思考を培い、それを基盤とした多様な創造・研究活動を、社会との関わりの中で発信して行く事の出来る専門家を育成する。基礎的な造形力を有し、表現の同時代性に重点を置いた指導の下で、自由で多様な手段で探求し カリキュラムに沿ったプログラムと制作環境の下に 創造・研究を展開することのできる学生を募る。

  • 彫刻の表現を追求し専門性を深めようとする人
  • 独自の表現領域を探求しようとする人
  • 創作・研究活動を通して世界的な視野を持とうとする人

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)

触覚の持つ知覚の根源性と表現の多様性を根本に置き、ひらかれた環境と専門性の追求の両立を目指す。1〜2年の基礎過程では素材と対峙することで得られる身体的な思考を培い、基本的な表現技術と課題の設定力、素材と表現を起点とした多様な歴史観を学習する。3年以降は各テーマに従っての制作を行い、同時代そして過去の作品を見る力を養う。学生の制作環境をひとつの教室やコースに留まらず、目的により選択出来 多方面から批評を受けられる体制をとる。

ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)

彫刻を基盤とした美術に関わる専門家の育成という目的において、学科における最終的な研鑽成果を問うために、卒業制作(公開展示)として次の事項について研究室教員全員で総合的に判断し評価する。

  • 総合的に差異が追求され、独自な表現として深化させる力があるか
  • 表現に則した技術を深め、習得できているか
  • 主体的に課題を設定し、創作する力を身につけているか
  • 歴史性と社会との関わりを認識し、発信する視座を身につけているか