「彫刻とは何か?」
という問いかけは、正解のない回答への問いかけです。現在、彫刻という概念の示す領域は拡張し続けており、〈ここ〉あるいは、〈これ〉と特定できません。しかし、夢見ることはできます。かつて画家のポール・ゴーギャンは一枚の絵に「我々はどこから来たのか、我々は何であるのか、我々はどこに行くのか」というタイトルを付けました。この問いかけは普遍的なものであり、私たちも、我々の彫刻はどこから来たのか、どのような心の働きの中で展開してきたのか、そして、彫刻の現在・未来はどうあるべきなのかと、問い続けなければなりません。飽くなき問いかけのみが彫刻に生命を与えます。
私たちの彫刻学科は、伝統的な素材や技術を重視しながらも、その起源を問い、現在をとらえ、未知の世界の扉を開こうと努力します。彫刻を愛する仲間が集い、大いに議論し制作をしましょう。
彫刻学科のポリシー
彫刻学科
アドミッション・ポリシー
(入学者受け入れの方針)
物質や空間と対峙する事によって得られる身体的な造形思考を培い、それを基盤とした多様な創造・研究活動を、社会との関わりの中で発信して行く事の出来る専門家を育成する。基礎的な造形力を有し、表現の同時代性に重点を置いた指導の下で、自由で多様な手段で探求し カリキュラムに沿ったプログラムと制作環境の下に 創造・研究を展開することのできる学生を募る。
○ 彫刻の表現を追求し専門性を深めようとする人
○ 独自の表現領域を探求しようとする人
○ 創作・研究活動を通して世界的な視野を持とうとする人
カリキュラム・ポリシー
(教育課程編成・実施の方針)
触覚の持つ知覚の根源性と表現の多様性を根本に置き、ひらかれた環境と専門性の追求の両立を目指す。1〜2年の基礎過程では素材と対峙することで得られる身体的な思考を培い、基本的な表現技術と課題の設定力、素材と表現を起点とした多様な歴史観を学習する。3年以降は各テーマに従っての制作を行い、同時代そして過去の作品を見る力を養う。学生の制作環境をひとつの教室やコースに留まらず、目的により選択出来 多方面から批評を受けられる体制をとる。
1年:触覚についての理解を深め、正確な立体造形力、差異を意識した制作展開、触覚を基底とした立体的なイマジネーションを身につけ、多様な表現の中から、彫刻概念の基礎を自分自身の視点で習得する。
2年:全て選択制のカリキュラムで、目的に従ってカリキュラムを組む。前半を塑造実習、後半を実材実習として、少人数制の集中技術指導による表現技術を習得し、素材の歴史性と媒体の独自性を考える。
3年:多様な専門工房を駆使した制作を行い、素材に対する各自の固有な関わりを探求する。主体的に課題の設定を行えることを目標とし、同時代の表現としての視座を探る講義演習系の授業が行われる。前半はイメージの実現化を目指し、後半は自己の制作を分析し批判的に展開する可能性を探り、表現力の深化をはかる。
4年:素材に対する各自の専門性を深め、これまで培ってきた表現力の展開を、社会的に公開してゆく方法を通して追求する。その中で表現の責任と独自性、作品が成立する地平と歴史への意識を 様々な方面から問う批評を加える。
ディプロマ・ポリシー
(学位授与の方針)
彫刻を基盤とした美術に関わる専門家の育成という目的において、学科における最終的な研鑽成果を問うために、卒業制作(公開展示)として次の事項について研究室教員全員で総合的に判断し評価する。
○ 総合的に差異が追求され、独自な表現として深化させる力があるか
○ 表現に則した技術を深め、習得できているか
○ 主体的に課題を設定し、創作する力を身につけているか
○ 歴史性と社会との関わりを認識し、発信する視座を身につけているか
大学院造形研究科 彫刻コースのポリシー
大学院造形研究科 彫刻コース
アドミッション・ポリシー
(入学者受け入れの方針)
彫刻コースは、対外的な発表を含み実際に社会に対して表現を発信して行く場として、世界的な視野に立ち 専門家として自立して創作・研究活動を行う人材を育成することを目的とする。専門的な個人指導に加えて、国内外で活躍する作家、研究者による理論と制作両面のゼミが計画的に行われる。追求すべきテーマを持ち、専門的な多方面からの批評と指導の中で研鑽を深化することのできる人材を募る。
○ 彫刻における優れた表現技術を持ち、創造・研究活動を通して社会に関わろうとする人
○ 独自の表現領域を持ち、創造・研究活動を通して社会に関わろうとする人
○ 彫刻の表現に疑問を持ち、創造・研究活動を通して社会に関わろうとする人
カリキュラム・ポリシー
(教育課程編成・実施の方針)
彫刻コースの研究課程は段階的な指導を踏むわけではなく、対外的な発表を含めた各自の制作計画を前提とする。各自の研究テーマに従った専門性・独自性の追求であるが、それ以上に 作品を成り立たせている基盤を問う事を主眼とした指導を行う。2年間を通じての計画概要とは、そのための方法論、技術、メディアの追求、作品と社会を関わらせる手段の考察、自己の作品に対する批判的な展開の可能性、等について客員教授を含めた美術批評等様々な他領域との複合的な批評を行う。
ディプロマ・ポリシー
(学位授与の方針)
彫刻を基盤とした美術に関わる専門家として優れたオリジナリティを持ち、社会に対して自立して活動できる人材を育成するという目的において、コースにおける最終的な研修成果を問うために、修了制作(公開展示)として次の事項について研究室教員全員で総合的に判断し評価する。
○ 表現の独自性が探求されているか
○ 表現における優れた技術が認められるか
○ 自己のテーマに沿った制作の展開が行われたか
○ 表現者として意識を持ち、対外的な発表が積極的に行われたか